先日、ベアリングに詰めたグリスの違いに驚いた。そこでもう一度グリスを見直そう。
複数グリスをもっているが基本になるのが多分リチウムグリスだと思う。
リチウムは汎用性に富んだ可もなく不可もなくいわゆる万能グリス。リールメンテナンスで困ったらリチウムグリスを塗っておけばほぼ問題がない。分かりやすく言えば80点のグリスというわけだ。じゃ100点は?と考えるとものすごく難しいが、機械的動作を考えるとリチウムよりもより良いグリスが見えてくる。
ただし、実験設備があるわけではないのでフィーリングでの選択となる。一応選択した根拠もある。
まずはこのギア部分、プラだったり真鍮だったりと材質が様々だ。グリスによってはプラを壊すものもあるので注意が必要だが直ちにぶっ壊れることはない。まずはギアについて知る必要がある。理想的なギアはインボリュート曲線で刃先が作られているインボリュート歯車だ。この特徴はギアとのがかみ合わせは常に1点(線)のみでかみ合うようになっている。理想的な軌道で動かした場合、転がり摩擦で動作する。しかし、現実は隙間があったり加工エラーがあったりする為、実際には衝撃、滑り摩擦、転がり摩擦の複合となる。この中で問題になるんのが衝撃と滑り。そこで有効になるのがモリブデンなどの極圧性にとんだ添加物になる。フッ素だったりセラミックだったりと色々存在するが基本的には金属同士ならモリブデン、金属樹脂、樹脂同士ならその他と思ってもらえばいい。これらの添加剤は油膜切れ時の焼き付け防止と滑り向上のために添加されている。転がり摩擦に関してはベースオイルの性能となる。という事はギアに関して言えばリチウムグリスよりもモリブデンやセラミックグリスが上位グリスと考えてよい。という事でギア部にはAZのセラミックグリスを使ってみた。リチウムに比べギアの衝撃音、うなりは小さくなった。
次はベアリング、こちらもまずは動作を考えていきましょう。ベアリングは基本的に転がり摩擦で動作します。ボールが転がることで摩擦を軽減しているわけです。仮にボールが滑ってしまうととうなるか、転がり摩擦から滑り摩擦にかわり回転抵抗が増えることとなります。また、滑りは変形摩耗を生む原因でもあります。なので理想は滑らず回ることです。厳密にはボールと保持器は滑り摩擦、ボールが軸回転方向以外に回転する場合(無荷重側に発生)も滑りです。ギアは滑らせるために添加物の入ったグリスを選択しました。ベアリング・・・滑りを良くしたほうがいいような気もしますが滑りが発生するのは無負荷、低負荷な場所という感じです。なという事はモリブデンやセラミック等の添加剤は不要かな。これらの固形潤滑剤は高負荷時、高温時向けです。これらの事からベアリングにはリチウムグリスで十分だと思われます。
ここからは推測なんですが
このグリス、リニアガイド専用グリスなんです。直動ベアリングと言われているものです。どんなものかというと
床と物体の間にコロが入っているイメージ。右のべた置きの物体は引きずって動かすことになりますが左のコロの上に乗っかった物体は軽い力で動かせますね。ざっくりとですがこれの高性能な奴がリニアガイドです。こちらもベアリングと同じですね。低温、振動軽減をうたっていてギアに塗った感じ非常に良かったです。これ直動ベアリング専用のグリスなのでならめっちゃ良いんじゃないか?っと思ったわけです。転がり摩擦軽減し振動を吸収しかも低温向け、釣り具には良いんじゃない?と希望的観点で購入しました。実際にベアリングに入れてみたら何てことでしょう、ザラついた感じになりました。なんでざらつくのか解らないので困ってます。
さて、ここからは毒ですが・・リールショップオリジナルグリス等、現在はいろいろで回っておりますね。正直どうですか?『驚異的な回転』とかうたい文句などありますが何の開示もなく根拠もないものが多いように感じます。だいたいどっかの油脂メーカーのを買って来て詰め替えてる、独自理論で何か足しているんじゃないかと思うんですよ。極論ですが油脂メーカーのオイルやグリスを超えるオリジナルグリスやオイルって存在しないです。特にベアリングに関してはベアリング製造の超大手メーカーがグリス、オイルまで用意していますよ。そこを調べればだいたい見えてきますが、基本は油脂メーカー製造の標準品を使っています。特殊なケースの場合のみ共同開発で作ったグリスなどを用意しているようです。ベアリングに入れるグリス量は1つあたりは微々たる物ですが出荷数を考えると相当量消費しています。そんなメーカーだから莫大な費用、油脂メーカーの協力が得られるわけです。そこを考えれば莫大な予算をかけて研究開発しているメーカーがぽっと出のガレッジショップに出し抜かれるなんて考えられません。うたい文句に騙されず色々調べてぜひ1度自分で試してみることをお勧めします。楽しいよ(笑)
0 件のコメント :
コメントを投稿